販売・マーケティング

【社員が解説】最低陳列量とは【品切れの基準を知るだけで売上が変わる】

この記事では、「最低陳列量」とはなにか紹介していきます。

 

最低陳列量」を知れば、スーパーやホームセンターなどにおける品切れの定義が変わり…

本当の品切れは在庫0の状態じゃないということがわかります。

 

スーパーマーケットの社員である私が「最低陳列量」とはなにか?そして現場の発注をどうしたらいいのかについて書いていきます。

 

私は販売士検定の勉強をしているときに「最低陳列量」を学んだことで品切れに対する考え方が変わりました。

 

「販売士検定の勉強をしている!」

「スーパー、コンビニなどの小売店で発注をしている」という方に向けて書いていきます。

最低陳列量

 

最低陳列量とは、商品の販売数量が急速に下がってしまう売場在庫量のことを言います。つまり、あるチョコレートの最低陳列量が5点であれば、売り場在庫が5点を下回ると販売数量が減少してしまいます。

 

最低陳列量について、販売士検定の参考書『1回で合格!リテールマーケティング(販売士)検定2級過去問題集 ’20年版』では、以下のように書かれています。

在庫量が一定以下になったとき、販売数量が急速に減少する一定量のことを最低陳列量といいます。

1回で合格!リテールマーケティング(販売士)検定2級過去問題集 ’20年版

 

一般に小売業においては、最低陳列量よりも少なくなった状態を欠品と言います。つまり欠品は在庫がない状態というのは間違った覚え方です。

 

売れ筋商品の販売数量が急に下がったけど原因がわからないという経験はないでしょうか?

最低陳列量を知ると売れなくなったから露出をやめるというの考え方は間違いだとわかります。

 

 

私がスーパーマーケットで働き始めた時には、「売り場在庫が3点以下になったら欠品」や「売り場の在庫が陳列できる量の25%以下は欠品」など言われ続けました。

 

なぜ「売り場在庫が3点以下で欠品」なのか?

当時は売り場の在庫が0になってから発注しては遅いからだと考えていましたが、最低陳列量を知ったことで、売上が落ちる在庫量(最低陳列量)=欠品だとわかりました。

 

なぜ売上が落ちるのか

 

ではなぜ最低陳列量を下回ると売上が急速に減少するのでしょうか?

 

私がスーパーマーケットで働いている経験から考えられることを2点紹介していきます。

  1. 売れ残りだと思われる
  2. 視認率が下がる

  

売れ残りだと思われる

 

最低陳列量を下回ると販売数量が減少する理由の1つに、少ない在庫を見るとお客さんは売れ残りだと思ってしまうことが考えられます。

 

売れ残り=魅力のない商品と思われてしまい、買ってもらえなくなるからです。

 

例えば、こんな経験はないでしょうか?

「あの商品販売終了なのかも…売れてないのかな?」

「棚がすかすかだな…売れてないのかな?」

 

このように売れ残りのイメージは商品やスーパーのイメージを悪くなり販売数量も下がります。

 

売れ残りだと勘違いされないためにも、売り場には最低陳列量を上回る在庫量が必要です。

 

実際に私が働いているスーパーでは、今後入荷しない商品で売場在庫が3点以下になったら、値引きシールを貼って素早く在庫処理していきます。

 

値引きシールで値下げして在庫処理をして、新しい商品を置いたほうが売上が伸びるからです。

 

視認率が下がる

 

最低陳列量を下回ると視認率が下がることも販売数量が減少する原因の1つです。

視認率…その商品がどのくらいのお客さんに見られているか

 

例えば、ワゴンや平台を使って商品を展開する場合

商品が2段、3段に積み上げられていれば、遠くにいるお客さんが商品に気づき「何かお得な商品があるかも」と思って購入に繋がります。

 

しかし、商品が1段になっていたり、在庫量が足りなかったりするとその商品があることに気づいてもらえず買ってもらうチャンスが減り機械ロスになります。

 

このように最低陳列量を下回ると視認率が低下することで商品に気づかれない状態になってしまい販売数量が減ることが考えられます。

 

実際のスーパーでは、ゴールデンラインの有効活用、商品のフェイス数を増やすなど売り場作りの段階で視認率を上げる工夫をしています。

【売れる場所】ゴールデンラインとは【売上の8割ある/陳列方法も紹介】 スーパーやコンビニなど小売店で働いていると「ゴールデンライン、ゴールデンゾーン」という言葉を聞くのではないでしょうか? 私もスー...

 

最低陳列量を知る

 

最低陳列量を知るにはどうすればいいのか?最低陳列量の意味を知っていても発注業務に活かせないと意味がありません。

 

多くの記事で最低陳列量の計算式として

陳列量=(リードタイムー1)×1日あたりの平均販売数量

という計算式が紹介されていますが、間違いです。

 

この式は、売り場の在庫を0にしないための陳列量を求める式なので、小売業の欠品を意味する最低陳列量ではありません。

 

ではどうすれば最低陳列量がわかるのか…

最低陳列量を知る方法として私がスーパーで実践しているのは、在庫を多く発注してみるです。

 

売場の在庫を商品でいっぱいにして絶対に最低陳列量を下回らない売り場を作ります。

 

そうすることで在庫が十分あるときの販売数量がわかり、その後の発注の基準にすることができます。

 

最低陳列量を下回らないための発注方法

  1. 売場いっぱいに入る在庫量を発注する
  2. 販売数量を記録する
  3. 在庫量が十分な時の販売数量をベースに発注する

 

しかし、在庫をたくさん持つことは在庫リスクを高めます。私の場合は商品回転率の高いスナック菓子や飲料、カップ麺などのカテゴリーでは強気に発注をしています。

最低陳列量(まとめ)

 

最低陳列量を知ると欠品に対する考え方が変わります。

 

私も最低陳列量を知る前は、「商品が少なく見えれば欠品」という考え方であいまいな基準でした。

しかし最低陳列量を知ってからは、「在庫があっても欠品すると売上数量が落ちる」と考え方が変わりました。

 

もちろん商品によって最低陳列量は変わります。

実際にスーパー、コンビニなど小売店では、最低陳列量を下回らない在庫量を保って、機会ロスを作らないことが重要になります。

関連記事