スーパーでは、在庫の持ちすぎはよくないと言われています。賞味期限の長い加工食品の売り場でも、2週間を超えるような在庫は必要ありません。
これは在庫を持っていると沢山のリスクがあるからなんです。
【悩み】
- 在庫を持ちすぎるとよくない?どのように悪いのか理由を知りたいな…。
- 在庫リスクってなに?
- 日配部門の発注で気をつけることは?
この記事では、在庫リスクとはなにか説明していきます。在庫リスクを避けるための発注方法など、上記の悩みを解決できるように書きました。
スーパーマーケットで2年働いている社員が解説していきます。食品は特に在庫リスクが高い傾向があります。
在庫リスクとは
「在庫リスク」とは、在庫を抱えることで生じるさまざまなリスクのことです。
例えば、廃棄や値下げはもちろん、商品を盗まれたり壊れたりすること在庫リスクです。
このように、在庫を持っているだけでたくさんのリスクがあります。
スーパーマーケットでは、賞味期限の短い日配部門では特に注意が必要です。毎日の発注業務、在庫整理がとても大切になってきます。
在庫リスクの具体例
在庫リスクの具体例をスーパーを例に紹介します。
①商品の品質が落ちる
食品の場合、賞味期限があります。
例えば、米であれば「精米日から1ヶ月程度で廃棄しないといけない」という決まりがあります。
また日配売場(牛乳やパンを扱う)部門では顕著ですが、毎日パートさんが時間をかけて値引きシールを貼っています。
在庫というのは、ただ持っているだけで、商品の品質(価値)が100からどんどん下がっていきます。
50→30→0 となってしまう前に売り切りたいですよね。
また値引きシールを貼る作業に当てる人件費などを考えると損失は目に見えて大きいです。
②古い商品は売れない
在庫リスク2つ目は、「古い商品は売れない」ことがあります。
なので、古い商品をいつまでも持っていると売上が下がります。
なぜなら、多くのお客さんは賞味期限が新しいものを後ろから取っていくからです。これはスーパーマーケットで働いているとたくさん見ます。
賞味期限が2021年5月と2020年3月であれば、
当然2021年5月の方が先に売れます。
お客さんが「新しいものがほしい!」というのは当然のことです。古いものはますます売れなくなり、商品の循環が悪くなり、最終的には売り上げが落ちてしまいます。
③商品の破損
商品を長い間持っておくと、破損するリスクが高くなります。
・袋が破けたから廃棄する
・缶が潰れたから値引きする
破損すると廃棄に直結するので売場に置いておく時間というのは、できるだけ減らした方がいいです。
④在庫管理に時間がかかる
在庫リスク4つ目は、在庫管理に時間がかかってしまうことです。
スーパーマーケットの仕事内容には、賞味期限をチェックするという作業があります。賞味期限が切れた商品は売ることができないので、1つ1つチェックします。
在庫を多く抱えることで、この賞味期限をチェックする作業の時間が増えてしまう問題がでてきます。
例えば、賞味期限の長い加工食品売り場でも月に1度は全商品を見ています。スーパーマーケットの規模によりますが、数千〜数万の商品を見ると多大な時間がかかっています。
賞味期限が1日や2日の日配部門では、毎日の作業になります。
このように、在庫をもちすぎると作業量の増加にもつながってしまいます。
在庫が少なくても売上が落ちる
在庫リスクがあるから、在庫は少なくしよう!と発注しても、逆に在庫が少ないことによる問題があります。
在庫が少ないことによる問題(例)
- 欠品によってお店の信用が低下する
- 機会ロスによる売上不振
- 売り場の見栄えが悪くなる
買おうと思った商品が売場にないことで機会ロスが生まれます。また「何度も欠品しているなら他のお店で買おう」と信頼の低下に繋がります。
このように、在庫は多くても少なくてもいけません。適正な在庫を持つために発注業務がより一層大切になります。
発注のコツ(日配部門向け)
多すぎず、少なすぎない在庫を保つためになにを考えて発注すればいいのか?発注では、「データ」と「売り場」の両方をしっかり見て数量を決めることが大切です。
私が実際に考えているものは、
発注で使うデータ(例)
- 週間(1日)の販売数
- 売れる日か(客数)
- 売り場の広さ
- フェイス数
難しい言葉で言えば、在庫回転率や在庫回転期間のような指標もあります。
また売り場の在庫状況を見ることも大切です。日配部門であれば、1日単位で売り場が変わります。明日の売り場計画を見て売り場スペースに見合った在庫を発注しましょう。
発注の際に確認すること(例)
- 売り場の在庫
- BRの在庫
- 売り場計画
【経験談】発注で困った時には
私が初めて発注するときに言われたアドバイスに「少ないのは論外、多く取って失敗しろ」と言われました。
在庫リスクがある、品質が落ちる、チェックに時間がかかるなど、言ってきましたが、少ない< 多いで失敗はするべきです。
理由は2つあります。
発注は多くとるべき理由
- 失敗しても1回で済む
- 在庫が多くてもリカバリーが効く
それぞれ詳しく説明していきます。
①失敗しても1回で済む
在庫を多く取れば、失敗しても1回で済みます。なぜなら、「本来どれくらい売れたのか」がわかるからです。
例を出して説明します。
適正在庫が60ケースの商品があったとします。✔️100ケース発注してしまった場合
40ケースは売れ残って余るので、
100ー40 = 60 ケース必要だったんだなとわかります。
✔️在庫が少ない場合
20ケース全部売れた。
30ケース全部売れた。
と本来売れる量がわからないので、発注ミスを何回も繰り返してしまいます。
このように、在庫を多く取りすぎても失敗を1回に抑えることができます。
②リカバリーが効く
在庫が多すぎてもリカバリーが効きます。
例えば、展開場所を増やしたり、安売りしたり、POPをつけて目立たせたりできます。
チェーンストアであれば、他店に送り込むことも可能ですね。
それに対して、在庫がない場合はなにもできません。陳列しようにも売るものがないという状況なので手の打ち様がありません。
このように、在庫が多い場合には、リカバリーすることができるので発注精度を上げていくには、「多くとって失敗する」必要があります。
在庫リスク(まとめ)
在庫管理は難しいので、自分の予想が当たり売れたときはとても嬉しい瞬間です。
100個発注して90個売れれば、もう大勝利です。スーパーマーケット含め小売業のやりがいの1つではないでしょうか?
この記事が普段の発注業務に活きれば、幸いです。